2025年2月23日日曜日

支援者として「自由」の範囲を明らかに

 



日頃思うのですが、私たちが自由に選択できるのは「行動」だけです。

そしてその行動が望む結果に結びつくかどうかは、必ずしも確実ではありません。

ご利用者支援を考えると、この不確実さこそが、より良い支援への可能性を開いているとも言えます。

支援者として「素直さ」を持つこと、

つまり自分の限界を認め、時には「分からない」と正直に伝え、学ぶ姿勢を持ち続けることが、本当の意味での成長につながります。


支援の過程は、まず基本的な信頼関係の構築から始まります。

挨拶や会話、約束を守ること、丁寧なケア、

そして何より利用者さんの声に素直に耳を傾けることが基礎となります。

次の段階では、その方の生活歴や価値観への理解を深め、些細な変化への気づきと対応、家族との関係性も含めた包括的な支援へと進みます。

そして最終段階では、言葉にされていないニーズへの気づきや、

その方らしい生活の実現、人生の最期まで寄り添う支援へと発展していきます。

このように段階を追って関係性を深めていく中で、最初の行動が望む結果に結びつかなくても、

その経験を素直に受け止め、次の行動を調整することができます。

支援者として選択できる行動の自由さは、より良い支援を模索し続ける原動力となります。

そして、この積み重ねが、やがて利用者さんとの間に深い信頼関係を築き、共に喜びを分かち合える関係性へと発展していくのです。

この過程で大切なのは、一つ一つの段階を確実に積み重ねていく姿勢と、常に謙虚に学び続ける素直な心です。

急がず、焦らず、しかし着実に。

それが、最終的に利用者さんと共に幸せを感じられる関係性を築く道筋となると思います。


株式会社中央ケアサービス エールハート小岩 山本大勝

2025年2月9日日曜日

自信を持つ勇気【あなたに拍手を贈るのはあなた自身】

 


人生の中で、時として自分の努力が報われていないと感じることがあります。

しかし、その努力の大きさは、他人との比較で測れるものではありません。なぜなら、一人ひとりが異なる人生の過程を歩んでいるからです。

要領良く結果を出すことだけが、成功の指標ではありません。むしろ、目標に向かって進む過程で得られる経験や気づきこそが、私たちの人生を豊かにしていきます。回り道をした分量の多いほうが、長期的に見て価値が高いのです。

AIの進化により、効率や速さを競う時代だからこそ、じっくりと時間をかけて成長していく価値が見直されています。なぜなら、正しい答えだけを出すことならば、人間はもうAIにはかなわないからです。

繰り返しますが、同じ結果を出すのに、より多くの努力を要した人のほうが、実は大きな成長を遂げているのかもしれません。なぜなら、その過程で乗り越えた困難や、培った忍耐力は、かけがえのない財産となるからです。

今日、自分なりに精一杯取り組んだことがあるなら、それを自分自身で認め、称えましょう。他人からの評価を待つ必要はありません。自分の成長を一番よく知っているのは、他でもない自分自身なのです。

時には迷いや不安を感じることもあるでしょう。そんな時こそ、自分の歩みを振り返り、小さな歩みにも目を向けることが大切です。自分を裏切らず、自分の味方でいることで、揺るがない自信が育まれていきます。

私たちは誰もが、自分だけの特別な物語を紡いでいます。その過程には、華々しい成功だけでなく、挫折や躊躇いも含まれています。しかし、そのすべてが、かけがえのない経験として、私たちを形作っているのです。だからこそ、今日も自分に向けて、温かな拍手を送りましょう。


その積み重ねが、揺るぎない自信となります。

根拠の無い自己肯定感には、可能性を感じます。

そして、自覚のある自己肯定感には、人間的魅力を感じます。

つまり自信とは、ここまで努力をしてきたという自覚にあるのだろう、と思っています。


株式会社中央ケアサービス エールハート小岩 山本大勝

2025年1月26日日曜日

介護保険シリーズ②【認定調査】

 私たちの周りには、年をとったり病気になったりして、日常生活に手助けが必要になる方がいます。

特に東京の下町エリアでは、高齢者の方が多く暮らしていらっしゃいますよね。そんな方々を支える制度として「介護保険」があります。

介護保険を利用するには、まず「どのくらい介護が必要か」を判定する必要があります。これを「要介護認定」と呼びます。

軽い方から「要支援1・2」、そして「要介護1~5」まであります。

最も介護が必要な「要介護5」の場合は、1日に110分以上の介護時間が必要と判断された方が該当します。

では、どうやって判定するのでしょうか?

まず、市区町村から調査員が自宅を訪問します(委託を受けた機関の認定調査員が訪問する場合もあります)。調査員はその人の生活の様子を詳しく確認し、マークシートに記入します。

例えば、「食事はご自分でできるか」「お風呂にお一人で入れるか」といった項目をチェックしていきます。このマークシートの内容は、とても重要な判断材料となります。

さらに調査員は、マークシートでは表現しきれない生活の様子や本人の状態を「特記事項」として詳しく記録します。

例えば、「手すりを使えば階段の上り下りができる」「日によって状態に波がある」といった具体的な状況です。この特記事項は、後の判定で大きな役割を果たします。

また、かかりつけのお医者さんからも意見書を出してもらいます。

このマークシートはコンピュータで分析され、「1日にどのくらいの介護時間が必要か」を計算します。これを「1次判定」と呼びます。

例えば、1日に25~32分の介護が必要な場合は「要支援1」、32~50分必要な場合は「要介護1」というような具合です。更に最も重い要介護5の場合には1日に110分以上という基準になります。

このコンピューター判定は、全国どこでも同じ基準で判断できる重要な仕組みとなっています。

意外に思われるかもしれない例として、末期がんで余命が短いと診断された方でも、日常生活が自分でできる場合は、軽い判定になることがあります。

これは、この制度が「どれだけ介護の手間がかかるか」を基準にしているからです。

最後に、専門家たちが集まる「認定審査会」で、コンピュータの判定結果と医師の意見書、そして調査員が記録した特記事項を総合的に検討しながら、最終的な判定を決めます。これを「2次判定」と呼びます。

このように、要介護認定は、その人にどのくらいの介護が必要かを、公平に判断するための大切な仕組みなのです。この判定結果によって、利用できるサービスの内容や量が決まってきます。


株式会社中央ケアサービス エールハート小岩 山本大勝

2025年1月11日土曜日

介護保険シリーズ①【成り立ち】

2,000年、平成12年は思い出深い年です。介護保険制度が始まった年なんですね。


介護保険制度が必要とされた背景には、日本の高齢化の進展と家族構造の変化がありました。急速な高齢化により、介護を必要とする高齢者が増加する一方で、核家族化の進行や家族の世帯員の就労率の向上(女性の就労の増加)、社会進出により、家族だけで介護を担うことが困難になってきていました。

それまでの措置制度では、行政が必要量を決定する仕組みでした。

具体的な事例を挙げると、要介護状態の高齢者がいる家庭が福祉サービスを受けたい場合、まず行政に申請し、行政が家庭の状況を判断して、サービスの内容や量を決定していました。

例えば、「週2回のデイサービスが必要」と判断されれば、利用者はその回数や施設を選ぶことができず、行政が指定したサービスを受けるしかありませんでした。

行政が、Aデイサービスに行ってください、と指定されていたのです。

また、行政の判断基準が地域によって異なることもあり、サービスの地域格差も問題となっていました。

さらに、今でこそ個性豊かなデイサービスがたくさんあります。リハビリデイサービス、外出支援デイサービスなどなど。

措置制度の頃のデイサービスは市場競争がなかったために、よくも悪くも「どこも同じサービス内容」になりがちでした。

こうした課題を解決するため、日本はドイツの介護保険制度を参考に、医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険に次ぐ「5番目の社会保険」として介護保険を導入しました。

新制度では、利用者自身がサービスを選択できるようになりました。

例えば、要介護認定を受けた後、「月曜日は訪問介護、水曜日と金曜日はデイサービス」というように、複数のサービスを組み合わせて選べるようになりました。

また、サービスを提供する事業者も自由に選べるようになり、より自分に合ったケアを受けることが可能になりました。

しかし、介護保険制度にもデメリットがあります。

一つは、利用者の自己負担(1割~3割)が発生することです。

措置制度時代は低所得者の場合、費用負担がほとんどありませんでしたが、介護保険では所得に関係なく負担が必要となります。

また、介護サービスの利用に上限(支給限度額)が設定されており、必要なサービスが十分に受けられない場合もあります。

上限を超える場合には、完全に10割負担のサービス利用となります。

介護保険の重要な理念である「介護の社会化」により、それまで家族が抱え込んでいた介護の負担を、社会全体で支えていく仕組みが整備されました。

サービスの質の向上や選択の自由度が高まった一方で、介護人材の不足や地域によるサービスの格差、保険料の上昇などの新たな課題も生まれています。

長くこの業界にいると、措置制度の頃は良かった。

なんて言葉をたまに聞きますし、確かに上記のようにそういう側面もあります。

それは、自己負担であったり支給限度額という概念により国民に縛りがかかった状態にある、事に対して思うことが多いです。

「今月は治療をたくさんしたので、これ以上の治療は自費になります」という病院はないでしょう。

しかし、総合的に今の社会保障をみると、やはり介護保険制度以後の方が国民にとって、より自由な、より健全な社会保障担ったのではないか、と思えます。


株式会社中央ケアサービス エールハート小岩 山本大勝

2025年1月1日水曜日

あけまして、おめでとうございます。2025年!

あけまして、おめでとうございます。


2025年から「も」、介護の仕事を取り巻く環境が大きく変わります。厚労省、国が定めた新しいルールによって、介護の現場では今までより多くの仕事が増えることになります。

例えば、介護記録、研修記録、事業所運営の規定をより細かく記録&実践することが必須になったり、職員全員が受けなければならない研修が増えたりします。

一見、これらは面倒な仕事に思えるかもしれません。でも、この記録や研修が、実は利用者さんの暮らしを良くすることにつながっているのです。

具体的な例を考えてみたいです。

訪問介護を利用している田中さん(85歳仮名)は、最初は「人に迷惑をかけたくない」と言って、ホームヘルパーの手伝いを断っていました。ケアマネジャーの山田さん(仮名)は、田中さんの謙虚で力強い気持ちを汲みながら話し合いを重ねました。

訪問ごとに山田さんは、田中さんの面接での場面を細かく経過記録に書き込みました。そして訪問介護事業所のサービス提供責任者へ、伝えました。その温かな記録は、サービス提供責任者から他ホームヘルパーへと生きた言葉で伝達されていきます。

「好きな野球の話をすると表情が明るくなる」

「右手は少し動かしにくそうだが、左手はしっかり使える」

といった具合です。

なぜ人に迷惑をかけたくないと頑なに断っていたのかを、ケアマネジャーの山田さんは考えました。そして、いつ断っても良いから、一緒にやってみよ!と訪問介護が始まることになります。

ケアマネジャーとホームヘルパーの支援チームは、この山田さんの記録をチーム全体で共有し、話し合うことで、田中さんへの関わり方を検討しました。

野球の話をしながらさりげなく声をかけ、関係性を築きながら左手でもできることの多さを、ホームヘルパーは自分の体を使い田中さんに伝え続けました。

「左手だと、じゃがいもがこんなに不格好になっちゃった」と、田中さんとホームヘルパーは笑い合います。

その結果、田中さんは「こんな風に食事ができるなら、手伝ってもらってもいいかな」と考えを変えてくれました。

次の月、ケアマネジャーの山田さんに、田中さんは自分の暮らしが変わったことを誇らしげに話しました。山田さんにとって、初めて見る田中さんのイキイキとした笑顔でした。


また、認知症ケアの研修を受けた後、職員の対応も変わりました。

訪問介護を利用している佐藤さん(78歳仮名)は、長年続けてきた掃除が認知症の進行で難しくなっていました。研修で学んだ「その人の残された能力を活かす」という考え方を基に、訪問介護サービス提供責任者の中村さん(仮名)は支援方法を工夫しました。

例えば、掃除の道具の配置を決まった場所に固定する、拭くだけの単純な掃除を一緒にする、達成感が得られるようカレンダーにマークを付けるなど、研修で学んだことを実践したのです。

その結果、佐藤さんは「自分でまだできることがあって嬉しい」と、意欲を取り戻されました。


このように、記録をつけることで利用者さんの小さな変化に気づき、職員全員で支援方法を考えることができます。また、研修で学んだ知識は、利用者さん一人一人の「できること」を伸ばすヒントになります。

確かに、記録や研修に時間をとられることは大変です。でも、これらは単なる義務ではありません。利用者さんの「その人らしい暮らし」を支えるための大切な道具なのです。

だからこそ、忙しい毎日の中でも、時々は「私たちは誰のために、何のために働いているのか」を考える余裕を持ちたいものです。記録を書く時も、研修を受ける時も、その先にいる利用者さんの笑顔を思い浮かべながら取り組んでいきたいですね。

新しい制度や仕事の増加は確かに負担になります。でも、それらを活用することで、より良い支援ができるようになる。そう考えれば、前向きに取り組んでいけるのではないでしょうか。


最後に、これら記録や研修、事業所運営に関する企画など、それらの準備をする人の存在があります。担当になるということは負担であり、重荷になるかも知れません。

しかし、それらの経験を通じて最も学べるのは、記録を読む人でなく、研修に参加している人ではなく、事業所運営の説明通りにきちんと守る職員でもなく、

記録を書いた人、研修や事業所運営を企画した、その人自身が最も成長できるのです。


今年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。


株式会社中央ケアサービス エールハート小岩 山本大勝

2024年4月30日火曜日

知る わかる できる

 人の成長のステップなのかどうか、定かでもありませんけれど、

未知な事柄からできるようになるまでに、

タイトルのように、「知る」「わかる」「できる」の段階があるように思います。

なんか、これって普通にわかるようでいて、少し考えてみました。


「知る」

知るということは一番簡単なことであると思います。

人から教えてもらう。

書籍を読んで知識を得る。

偶然何かに気づく。

とか。

もちろん、能動的に知識を求める態度は素晴らしいものです。

何事も、まずは「知る」ことから。


「わかる」

ここからは異論もあると思いますが、私見です。

わかるということは、知識を元に実践してみること。

A=Bであるという知識を、そのまま使って動いてみる。

あぁ、A=Bということは、実際にこういうことなのか、と思い至る。

では、なんでA=Bになるんだろう。

AがBにならない場合でも、おかしくないのではないか。

そんな問答を深めていき、最終的にまたA=Bに戻って来る。

そして、「わかる」。

知識を深めたものが、「わかる」という姿のように思います。

否定の否定は肯定であるけれど、

初めから肯定(A=Bに疑問も持たない状態)している段階は、

まだわかる段階には居ないように思います。

最終的に、肯定でも、

1,初めから肯定

2,否定に否定し肯定に戻る

深みで言ったら雲泥の差があります。


「できる」

わかったことを、できるようになるまでには、

経験と実践の積み重ねがどうしても大事になるように思います。

時に、「わかる」の段階に行きつ戻りつしながらも、

実践を積み重ねていくこと。

このためには、続けるという動機、気持ち、胆力が大切です。

どこまで強く、思い込めるか。

自分の信念、信条に合致することを、しようとしているのか。

どんなに崇高な事柄でも、

その時の自分の信念や信条と反すると感じるものについては、

できる、という段階には至ることは難しいのかもしれません。


「知る」は、探究力。

「わかる」は、実践力。

「できる」は、人間力。


くれぐれも伝えたいのですが、

これができるからと言って、人間的に優劣だとか上下であるとか、

そんな事にはなりません。

時に、自然に何事もないかのようにこの段階を意識せずに通っていく方もいます。

そちらの方の方が、よほど素直でいらっしゃるんだと思います。


ふぅ。

覚書ていどで。


2024年3月28日木曜日

令和6年度法改正にバタバタ (^_^;)

 令和6年度の法改正が、もう間もなく4月1日。開始になります。

例年の法改正のスケジュール通り(汗)、ギリギリまで決まっていないこと、

解釈が難儀することなど、山積みです。


ご利用者、ご家族様への同意書も居宅介護支援は作り終えました。。。

しかし、訪問介護の総合事業の単価が決定されず、説明もできておりません。

一刻も早く、みなさまにご迷惑にならないようお知らせしたいです。


法改正のたびに思うのですけれど、

そりゃー、グチも出そうになりますよね。

なんで訪問介護の単価が低くなってしまったのかとか。

当地でもインターネットでも散々言われております。私もそう思います。

ケアマネジャーは45件未満担当できるようになったけれど、

介護予防居宅介護支援は3人で1人換算になりましたけれど。

なーんで、必須の委員会やら業務を増やしちゃうんだろう?とかとか。

って感じで、グチのオンパレードになっちゃう。


だから、プラスの事を考えたい。


当事業所も、従業員さんに、ひとり45人を目指して担当してください!とは言いません。

だけれど、これを機会に、どうしたら効率的に仕事ができるかを考え直すきっかけを作ってくれたんだと思います。

トヨタの製造業に学ぶように、カイゼンカイゼンです。

今のままの仕事の仕方をしていたら、明日も同じ時間がかかります。

どこに時間がかかっているか、

どうしたら時間を省力化できるか、

トヨタさんのように、なぜを5回唱えながら自分の業務を振り返るきっかけにしたい!


訪問介護だって、ご利用者への提供させていただく時間は決まっています。

それ以外の時間をどう使うか、何に時間を使わないといけないのか、

イレギュラーな出来事を想定しながら、スケジュールを組む。。。

訪問介護は居宅介護支援よりも、自分のスケジュールを守り遂げることが難しい職種です。

だからこそ、バッファを多めに取って、、、

バッファ(余白のこと)を作り出す手段、方法を「なぜなぜ5回呪文作戦」で作り出してほしいな。


いい仲間に出会えたからこそ、

今日よりも明日、成長していたいって思います。


個人的には、まだまだ面接技術(ご利用者とのお話し合いの事ですね)を向上していきたい。

もっともっと、色んなことを知りたい。

介護だけではなく、社会のいろいろなことも知りたい。

好奇心だけは、どんどん増えていきます。


よう~~っし、がんばろう! 新年度!

難しいゲームは、楽しいぞ~! そう、法解釈のこと(笑)



支援者として「自由」の範囲を明らかに

  日頃思うのですが、私たちが自由に選択できるのは「行動」だけです。 そしてその行動が望む結果に結びつくかどうかは、必ずしも確実ではありません。 ご利用者支援を考えると、この不確実さこそが、より良い支援への可能性を開いているとも言えます。 支援者として「素直さ」を持つこと、 つま...